エッセイ

動物園の野生動物が一番幸福
フェリーの旅が最も安全

足と首のながーい動物園のキリンが、足をたたみ首を体に巻けて安眠する姿が放映された。ジャングルやサバンナに生きる野生のキリンには見た事もない光景だ・・・と動物学者は語る。
野生環境の中では天敵から身を守るために夜も昼も立ったまま、耳を360度回転させて眠ると言われている、即ち安眠はしていないらしい。
近年の異常気象で降らない雨、大規模な山火事、砂嵐、食糧不足で野生動物達の生き残り戦争(サバイバル)は激しさを増している。かっては100万とも120万種類ともカウントされていた地球上の微生物も含む動植物は激減し、エコロジーが失われている。
日本列島においても人里に現れる熊、猿、鹿、猪が多く、村人とのトラブルは絶えない。彼等の棲む森林の食料が異常気象で大きく減っているためと報告され ている。
英国から始まった産業革命前と比較し、世界の森林は50%以上失われ、陸地の40%が砂漠になろうとしている。新幹線、高速道路網の発展した山岳国日本においてはトンネルの多設、風力発電による低周波公害により生態系、地下水の流れは大きく崩れている。森林を倒し ての大規模太陽光発電からも有害な電磁波が出ており、動物たちの生息エリア を蝕んでいる。更に極地においては氷山の消失、永久凍土の溶解でプランクトン の発生に変革が生じ海の動物達の生態系が崩れ多くの動物達に絶滅種が増えている。
我国近海でも魚貝類の母とも言えるサンゴが死滅し、白化現象とも呼ばれ海の 砂漠化が進んでいる。私は永く動物園で飼育されている野生動物に哀れみを感 じていた。狭い檻の中で牙を奪われたライオンの如く、走り回る環境ではないか らである。しかし昨今の地球環境の激変を見ると動物園の住まいには空調が施され、暑い夏には氷やキャンディーまで与えられ、天敵と戦う必要は無く三度の 食事が与えられている。
こんな野生動物達は宝くじに当たった幸運な動物達ではないか・・・と思うよう になった。
最近の日本列島を例に取れば2年前、予報も間に合わず広島を襲った豪雨による土石流で、一瞬に40余命の命を奪った局地型集中豪雨、今年北九州を襲った洪水と 30万tにも及ぶ流木、6年前の東北大震災、平野を襲う竜巻、沖縄より 暑い北海道、風速50メートルクラスの暴風雨の局地的発生を見ていると、人間 達にも安住の場所は無くなってきている。

先般北九州を襲った線状降水帯で家も農地も失った住民は多く、その後も降る雨で、もはやここは人間が住める場所ではないのでは、と移住を望む人々は多い。 但し、雨量が1日400mmに達した場合広島の如く土石流は必ず起きる。70% が山岳の列島日本に安住の地は無い。
新幹線網の完備、高速道路の活躍ですっかり需要が減ったフェリーだが、最近豪華さを加えリニューアルした船旅を目的としたフェリーの人気が高まっている。 世界一周豪華客船による旅は我々庶民には高嶺の花ではあるが、地震には無関係で雨雲を避け、台風を避けての航海は最も安全な生活空間ではないだろうか。

地球温暖化は「想定外」ではなく、全てはアイディアを持たない政治家の不勉強と情熱の薄さによる人災である事、生命体の全てに対する「思いやりへの怠慢」による犯罪でもある。

全世界で年間に排出される CO2 は250億トンに上る、中国、アメリカの2カ 国で50%以上だが日本は5%(約13億トン)を排出している。EU 諸国8ヵ 国(英国を含む)の総量は6%であり、日本の無責任な行政が批判の的になっている。そのため日本の環境行政は主要58カ国中最下位にランクされている。中国、韓国より低い有様だ。
木材大国でありながら木材輸入量で実質世界一位、ODAで141ヶ国に貸与しはているアイテムの大半は石炭で発電する火力発電機である。安倍総理5年 間の実績の中で、この数値は些かも改善されていなく逆に増加している。 日本の森林面積は2500万 ha、その25倍125億 ha(陸地の8%)の地球 に超早生樹桐を育てれば、5年から6年間で世界の総排出量の20%を吸収する事が出来る。しかし現在の我国の政治家には望めない情熱が必要となる。

北朝鮮問題の解決は戦争ではなく、007のジェームスボンドに依頼したらいかがだろうか。 戦う相手は地球温暖化の元凶上空1万m~数千mの厚さで地球を覆う温室効果ガスのぶ厚い膜の除去であろう

2017年8月16日
黒岩陽一郎

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