外務省地球気候変動課 COP23委員会、各位
上記写真は新潟県津南町で育った桐と杉である。桐は杉の6倍のスピードで成長する、最近アメリカで品種改良された桐は更に杉の10倍のスピードで5~6年で成木になる事が証明されている。更にぬくもりとは異なりエネルギーを出すゴマノハクサ科の植物として注目したい。
春には美しい藤色の花を咲かせ甘い香りを漂わせる。夏には大きな葉で木蔭を作ってくれる。我が国に近代医学を伝えた医師シーボルトが、祖国オランダの女王の名前を採り桐に「ポローニア」と名付けたと伝えられている。
微少な胞子に羽がついており、気流に乗って世界各地に芽を出している繁殖力旺盛な植物である。
夏の短いドイツでありながら省エネルギー法の第一行は「夏の暑さからいかに建物を守るか・・・」で始まっている。海外では主に観賞用として用いられてきた植物であるが、暖房に用いるエネルギーと比較して冷房に必要なエネルギーが大きいためである。大きな葉が作る木蔭は夏の暑さから住宅を守り、冬になると全ての葉を落とし、太陽光で家を温める事が出来る。
桐の持つ神秘的とまで言われる人類に優しい特性こそCOP23の主要テーマであって欲しいとの思いでレポート型ノンフィクションエッセイとして説明したい。
断熱力を数値で示す熱抵抗値において桐は住宅建設に用いられている広葉樹の2倍、耐火性能は鉄の6~7倍、詳しくは私の著書「桐で創る低炭素社会」を開いて頂ければ詳しく説明されているのでご理解頂けるはずであるが、桐製防火戸と鉄製防火戸のISOに基づく比較耐火テストは写真Aで紹介する。
一般的建材に用いている木材と桐を同じ倍率(100倍)で拡大してみると、他の木材とほぼ同じセルロース、リクナン、へミセルロース、導管が見えて来る、更に拡大すると桐だけは導管の中に更にミクロの導管が存在している。参照図B。生きている時は水が流れている。伐採し水が抜けるとこの導管がミクロの空気の小部屋となり、旭化成(株)販売している断熱材ネオマフォームと酷似している組織である事が解かる。 このミクロの空気の小部屋こそが比類無き断熱性、耐火性、調湿性、寸法の安定性のメカニズムであり、爽快な住空間造りを可能にしている。使用方法を工夫すると、断熱材を1gと用いる事無く完全断熱耐火住宅を造る事が可能な材である。参考図D E F G H参照。更に桐には柿渋に含まれているタンニンの含有量が極めて多く、抗菌効果を高め住空間に黴を発生させず、白蟻も寄せ付けない性能を持った建材となっている。 「桐で創る低炭素社会」参照
電子レンジに使われている遠赤外線の放出が桐はセラミックより多い、神秘的なのは、人間の体温と同じ36℃時点での放出量が最も多くなる。参照図C そのため身体の芯から温めてくれるエネルギーの放出により床暖房はもとより、カーペット、スリッパ、靴下も不要とする天然の暖房材である。ベッドの上に桐板を乗せて寝ると電気シーツや毛布を不要とし、温かくぐっすり眠る事が出来る。逆にミクロの小部屋の調湿力により夏はサラサラになり、除湿機能を不要とする住空間を創出してくれる。
築後450年以上の古建築は現在日本で1万5000棟が日本全国に残っている。桐を土台に用いている場合、取り換えた形跡はない。桐以外の木材による土台は必ず1~2回取り替えている (八重垣良暉著 桐と人生より出典)
現在アメリカでは住宅の外壁に、ドイツでは内装材に桐が用いられ急速にマーケットを拡大しているが、腐りにくく耐候性の高さからと外断熱にも有効だからである。CO2吸収マシンである桐は以上の様に、化石資源の利用を不要としエネルギーを出す断熱住宅建設の建材になる。住宅におけるエネルギーの使用量はエアコンが80%以上を占めている。特に冷房に必要なエネルギーは暖房の約2~3倍に達する。(1℃室温を下げるには1℃あげるエネルギーの7倍を必要
とするためにある)下図はドイツにおける60年以前のエネルギー消費の割合である。(ドイツ省エネルギー法改訂以前)この割合を基に住宅の断熱性(ロスエネルギー対策)を強化し、世界で最も進んだ省エネ大国になっている。そんなドイツが近年桐の特性に気付き内装材として市場を拡大している事はさすがである。